2022年度クレド制作をご導入いただいた社会福祉法人周防会 三ッ葉保育園の藤井康介園長にインタビューをさせていただきました。
三ッ葉保育園はこんな園
三ッ葉保育園は、福岡県北九州市小倉南区にある認定こども園です。
藤井先生は一般企業に勤められた後、祖父・父から受け継いで3代目の園長を務められています。
今回、園長就任2年目でクレド制作に至った背景などを伺いました(インタビュアー:日比)。
クレド制作を導入する前に困っていたこと
日比:
クレド制作を導入する前、どんなことに困っていましたか?
藤井先生:
困っていたことは多々あって。
まず、保育園の想い、うちの保育園のこだわりとかをしゃべれる人間がいない、語れる人間がいないっていうのと、やっぱりこう昔ながらのトップダウンの組織だなっていうのが私の印象で。
でも保育では、一人ひとりがすごく子どもたちを大切に思っていて、保護者の方とも信頼関係があって。保育園としてはすごく愛されてるというか、いい保育園と思ってもらっているんだなという印象はありました。
ただ今後、現状維持というよりかは、上を目指していかないといけない時に、先生たちのやりがいだったり、子どもにとってのいい保育を目指す時に、 理念が弱いなっていうところを思っていました。
理念も具体的じゃないなっていうのと、先生たちが「三ッ葉保育園はこういう保育。こういうところ」っていうのを言えるようにしたいなという思いがありました。
クレド制作を決めた理由
日比:
なるほど。そんな背景の中で、今回のクレド制作を決めた理由はどこにありましたか?
藤井先生:
そうですね。何年か前に福岡県の研修で、チームビルディングスさんを知ったんですよね。それが何となく頭の片隅にあって。それで、保育園をよりいい方向に持っていきたいって思っていた時に色々探して検索して。
こんなところがあったらいいなっていうの思っていて、それを別の園の先生にも相談させてもらったんですよ。そしたら「うちも入れてる、こういうところあるよ」ってチームビルディングスさんを教えてもらいました。
その先生に色々話を聞いてたら、そんなことをしてくれるんだって思って。それだったら自分が思ってたことに近づけそうだなと感じて、クレド制作に着手しようと思いました。
クレド制作を導入するときに障壁になったこと・悩んだこと
日比:
なるほど、ありがとうございます。クレド制作を導入しようと思った時に、障壁となることやちょっと悩むことってありましたか?
藤井先生:
うーん、悩みはありましたけど障壁っていうものは特になかったです。
日比:
ちなみに悩みっていうのはどんな?
藤井先生:
クレドを作ってどう落とし込もうかとか。
あと、自分自身がまだこの保育業界に入って日が浅いっていうのと、 園長になって2年目なので、まだ自分自身が三ッ葉保育園のことわかってないのかなとは思ったんですけど。でも過去よりこれからかなと思って。
あとそうですね。主任との感覚のずれがあったなって思いましたね。
私は先を見て「こうしたい」とか、私は外から来たので外の文化があるんですけど。主任はずっとここの保育園にいるので、「今まではこうしてた」とか「今まではこうだった」っていうのがあるので、そこの見ているところの違いというんですかね。私は先を見てるんですけど、主任は過去のことから話をするので、そこにずれがちょっとありました。
どのようにして悩みを解消したか
日比:
そこはどうやって解消してたんですか?
藤井先生:
もうゴリ押しです(笑)
日比:
ハッハハハハハ(笑)
藤井先生:
ゴリ押しと、やっぱり尊重というか。保育に関してはもう絶対的に信頼を置いてるので。「あ、そうなんやね」と勉強になりつつ、それを活かしていくっていうところですかね。2人がこう別のところからぶつかり合うんじゃなくて、 お互いに新しいもん見つけたかなっていう。
日比:
うんうん、なるほど。その境地にたどり着いているのがすごいところですよね。
園長と主任が対立して全然噛み合わず、職員さんたちも迷ってしまうというケースがありますが、違うけど混ぜ合わさってるっていうのが、やっぱり藤井先生たちの素敵なところなんだなと今改めて思いました。
藤井先生:
ありがとうございます。
クレド制作をしてみての率直な感想
日比:
それで実際、クレド制作のワークショップなどが始まって、ライターとデザイナーさんが入って作ったクレドブック(※1)が印刷物になってというところまで来ていますが、クレド制作をしてみての率直なご感想はどうですか?
※注釈1:三ッ葉保育園さんは、出来上がったクレドを冊子にまとめた「クレドブック」を作成されました。クレドブックの現物を最終的な成果物として納品させていただきました。
藤井先生:
楽しかったかな。ワクワクドキドキしたな。もうこれを活用できるのも楽しみです。
日比:
なるほど。藤井先生は、どのあたりが楽しかったですか?
藤井先生:
やっぱり、こうちゃん(弊社:菅谷)が言葉を引き出してくれるっていうところですかね。言葉だったり、思考だったり。あとライターさんがいて、それを言葉や文字にしてくれて。想いを文字に起こしてくれるっていうのがすごいな、素晴らしいと思いました。初めてですね、こんな体験をしたのは。
そこで更にデザイナーさんのデザイン。想いとか保育園の環境とか、感じたものをデザインにすることが「あぁーすげぇ!」と思って。日々なんかこう新しい提案をしてもらったりとか、文字が出てきたりとか、デザインが出てきたりとかっていうところで、ワクワクして楽しかったですね。
日比:
確かにそうですよね。自分の頭の中にあることとか、いつも感じてることを外に出して、それが形になっていく経験ってなかなかないですもんね。
藤井先生:
そうなんですよ、これは素晴らしかったしすごかったですね。メチャメチャ楽しかった。
日比:
わー良かったです!
クレドはアップデート(更新)していくもの
藤井先生:
あとは、もう1回作ってみても面白いのかなと思いました。っていうのが、何て言うのかな。自分が思っている以上に、感じてる以上に、自分が三ッ葉保育園のことを知らない。一緒に作った主任もそんな感じのことを言っていたので。
日比:
うん、うん。
藤井先生:
やっぱりこう、長期的に色んな考えをっていう時になんか感覚が研ぎ澄まされるというか、さっきの探求心の言葉2つにしても(※2)、 理念が研ぎ澄まされていって、伝えやすい言葉とか出てくるんですよね。
※注釈2:三ッ葉保育園さんのクレドでは、「探求心」と「探究心」の2種類の言葉を使い分けています。
日比:
1回作っていいものができたとしても、「もっとこうもあるかも」とか、どんどん使っていったらバージョンアップしたくなるかもしれない、といったことですよね。
藤井先生:
うん、そうですね。
今後のクレドの活用方法
日比:
そして、今後このクレドをどんな風に使う予定ですか?
クレド浸透プログラム(※3)も導入していただく予定ではありますが。
※注釈3:弊社では、クレド制作後にそれを活かしていくための「クレド浸透プログラム」も提供しています。全職員さんにご参加いただき、ワークショップ形式でクレドを日常の保育に繋げていく内容です。
藤井先生:
そうですね。1つのアイテムになればいいなと思ってます。先生たちの働きやすさとか、仕事に対する意識とか、保育に対する指針とかの 1つのアイテムになればなと。これがやっぱり全てになることは多分ないと思うので、これが1つのアイテムになるとすごく嬉しいなと思います。
藤井先生:
そうだ、これを導入した背景として、実はそのもっと深いところで言うと、保育園を改革しようと思ったんですよ。
日比:
うん、うん。
藤井先生:
地域的に弱いところなので。マンションもないし、入れ替わりもないし。新しい住宅はありますけど、もう子供も落ち着いてきて。この辺は渋滞が激しいこともあり、わざわざこの辺に子どもを預けに来ようっていうのは、よっぽどの園じゃないと厳しいと思ってたので、5年かけて3つの改革をしようと自分は思ってました。
職員の働き方改革と、保育の改革と、環境の改革ですね。
保育の改革の中の1つの取り組みが、今回のクレド制作でした。なのでそれを保育に活かしていけるので、楽しみですね。
日比:
なるほど。出来上がったクレドブックは、職員の皆さんのポケットに入るようにサイズも考えて作られていましたもんね。
皆さんに配布して、ポケットに入れるくらい常に手に持っておいてもらったり、見たいと思った時はすぐに見返せるように使っていくようなイメージですかね。
藤井先生:
はい、そうですね。
日比:
なるほど、ありがとうございます。
今後実施予定のクレド浸透プログラムもそうですけれど、それ以外の場面でも、クレドブックのワードを見て、「私はこう思うよ」とか「え、これってこうじゃない」みたいな話し合いが職員さんの中に自然と生まれてきたりすると、とてもいいですよね。
藤井先生:
いや、それですね、そうなると、やっぱりいいですね。そんな対話が生まれてほしいです。