<<前回の記事に引き続き、宮原ハーモニーの島村先生にお話を伺いました。>>
――チームビルディングを導入して、目に見える成果はありましたか?
島村先生:実際に、職員の離職率がありますね。決して離職率が高い法人ではなかったのですが、やはりさらに低下しまして。離職が少なく育休の復帰率も高いので、職員採用に導入前より苦戦しなくなったんですよ。
なので結果、チームビルディングスさんにお願いしている費用と今まででかかっていた採用コストを比べると、トータルでは絶対プラスですね。 退職が出ないくらいの年も出てきたので、数百万単位で経費がかからなくなっています。経営的にもありがたいですね。
――そうなんですね。やはり採用は課題ですよね。
島村先生:はい。人材紹介会社に費用を払って採用をしたものの、園の方針と合わない人が来てしまい、一カ月で辞めますみたいなことってあるんです。
でも、「一緒にやさしい未来をつくりたい」っていう方だったら、もしその時の力が不十分だったとしても、そこの想いを共にしているから応援したくなりますよね。「私たちはやさしい未来をつくっています」とかなりハッキリ打ち出せるようになった、自信を持って言い切れるようになったので、採用でもいわゆるミスマッチは起きづらくなっていると思います。
――そこがぶれないのは大きいですね。
島村先生:大きいですね。本気でやさしい未来をつくろうとしているメンバーばかりになってきていると思います。トップダウンで掲げている理想だけではなく、職員一人一人の生き方とか、保育士になった志とかとリンクしていますね。自分たち自身のことを生き方含めて見つめ直す機会になっているような気がします。

――賛同してくれる職員さんが集まって働いていると、保護者側もそれを感じますよね。
島村先生:偉そうなことを掲げていても、結局先生たちの表情、細かな連携、ちょっとした言葉で伝わることもありますしね。不健全な組織だと「ありがとう」とか「ごめんね」とかも出なくなっちゃうんですよね。私もこの業界で20年近くやっているので、そういう経験が今までありました。本当にありがとうも聞かれなくなりますし、ごめんねも言えなくなります。そういうのって保護者の方にも伝わると思います。
そう、面白いこと言っている先生がいて、働き方改革でどんなことやっていきたいか?という質問に、休みを増やしたいとか、お給料を増やしてほしいとか、残業をなくしたいって意見もあったのですが「みんなが同じ方向を向いているのが何よりの働き方改革だと思う」と言った先生がいたんですよ。「そのための施策や研修、仕組みが一番だと思います。それが最も働きやすいということだと思います。」と。
――おおー。すごい。職員さんからそんな言葉が出るっていうのはなかなかないですよね。
島村先生:いやー、すごいですよね。それはさすがに感動したというか、こういう意見があるんだなぁと。だから自分たちのやろうとしていることも、すごくいいこととして伝わっているんだろうなと思って。
――それは嬉しいですね。では、今後のビジョンや展望はありますか?
島村先生:今は本部機能の改善にも注力しています。うちは複数拠点ありますが、法人本部の機能を独立しては持っておらず、みんな園長を兼務しながらやっているんです。なので、結構なパワーを出し合わないと難しいんですよね。
現場の先生たちにも「得意なことを活かしてほしい、チーム保育」と言っているのと同様に、本部運営でもそれぞれの強みを最大限活かしてやっていきたいと思っているので、そこのチームづくりに力を入れています。組織の運営・管理面でも、メンバーそれぞれの強みを生かし合えたら、一つのいいモデルになるのではないかと思っています。

――本部運営も大変ですもんね。
島村先生:本部と現場がうまくいかないこともよくありますが、やっぱりみんなでワンチームですからね。
それぞれの視点があるのでぶつかることは分かるんですが、それを超えてリスペクトし合えたら、限られたメンバーでも、限られたお金でも、限られた時間でも、みんなが活躍できる方法はあると思うんです。私たちがそれを体現できたらいいなと思っています。
――ここまでお話を伺って、島村先生の視点は興味深いなと感じました。
島村先生:そうですか、嬉しいです。それをお話ししてくださったついでに、職員向けのファシリテーション研修を導入したいと思った背景なのですが、私、保育士さんたちのセカンドキャリアのようなものに関心があるんです。
改めて、保育士って体が資本なんですよね。
20代は体力で乗り切ったとしても、ライフプランの変化が生じて、30代になって、家庭との両立などにより、心も体も疲弊している方は実際のところ多くいます。40代・50代になってさらに体力的な問題で今までと同じように仕事ができなくなったら、給料が下がるようなこともあり得るわけです。年齢を重ねれば必ずマネジメントができるわけではないし、全員がマネジメント能力を持ち合わせているわけじゃないから、その時になって、待遇が下がるっていうのは結構無責任な話だなと・・
20年近く保育業界を見ているのですが、大事な時期に体力や時間を捧げてきたのに、
自己責任にしては、ずいぶん冷たいなって思っていたんですね。
費やす割にキャリアが描けない。
――なるほど。
島村先生:そこで、ファシリテーション技術も身に着けられたら、先生方の可能性がもっと広がるんじゃないかと思いまして。保育業界だけじゃなく、人と関わる以上は絶対に必要になるものだから、どの業種に行っても使えるなって思ったんです。
もちろん職員は大切ですが、私はうちの法人でずっと仕事をしていてくださいっていう考えは全くないんです。もしここを卒業することがあったら、その時に「宮原ハーモニーにいたことで、こんなことを学んで、今これだけのスキルがあるから、私はこういうセカンドキャリアを描けたんですよ」っていう人たちが増えてほしいんですよ。
そうしたら保育士の魅力ってもっと上がると思うんですよね。

――それはすごくいいですね。
島村先生:子どもたちに歌を歌うだけじゃない、子どもたちのケンカをなだめるだけじゃない。どこにいっても使えるものはたくさん取り入れて、力にしてもらえたら、園も先生たちの未来にとってもハッピーだよねっていうのが、今自分ができる「やさしい未来」のアプローチかなという考えになってきています。
――私も今のお話を聞いていて、子どもたちだけでなく先生たちにとっての「やさしい未来のつくり方」にもなっているんだなと感じました。
島村先生:そうなんです。そこが今、理事長として力を入れているところですね。先生たちのそういったところも保障できる、選択肢が増えるようなことをしていきたいですね。
一部のすごく優秀な人、すごく器用な人じゃないとキャリアを描けません!ではなくて、真面目で愚直に頑張った人であれば、ちゃんとキャリアを描けるんだよっていう状態にしたいなと本気で思っています。
――キャリアの先が見えると、保育士になりたい!って思う人たちももっと増えますよね。
島村先生:そう、そうなんですよ。必要なのは、管理職になったらお給料がこうですよっていうことだけじゃないんですよね。お金も大切ですけど、先のことなんですよ。先が見えないから不安になっちゃうと思うんです。すみません。熱くなっちゃった。
――いえ、何だかインタビューの枠を超えて、とても大事なお話だなと思っています。
島村先生:多分チームビルディングスさんにお願いしている理由もここですね。
今、目の前の小手先だけをやりましょうという方々とは、こういう風に関係性が築けなくて。しまさんやこうちゃん(弊社 中島・菅谷)をはじめ、みなさんが会社として未来を考えているなとすごく感じるんです。なので、一緒に未来を描いていくことができると感じていて、そこが一番お願いしたくなる部分かもしれないですね。
チームビルディングスのみなさんって、業者さんというよりは、本当に仲間なんですよ。職員みたいな距離感で接してくださって。それでどんどんお願いしたくなるのかなと思います。
――私たちも、いい園をつくろうと思っている本気の方々と一緒にやっていきたいという想いがあるので、それを感じ取っていただけているのは、本当に嬉しいです。
本日は貴重な機会をありがとうございました。

