信愛会さんは、東京都小金井市でしんあい保育園、しんあいのぞみ保育園の2つの認可保育園を開園されています。
2023年度から「クレド制作」、「デザイン制作」、「チームビルディング会議」などをご導入いただいている橋本怜史 理事長にお話を伺いました。
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※クレド制作とは?
→園で大切にしている保育観(理念・方針・目標など)を、現場で活かしやすいクレドとして再構築し、浸透・実践につなげるところまでお手伝いします。 - ※デザイン制作とは?
→園で大切にしている保育観をロゴやパンフレット、封筒などのデザインに反映させます。自園らしさをカタチにし、園内外からの共感や信頼感を高めます。 - ※チームビルディング会議とは?
→会議ファシリテーターが園の問題解決をお手伝いします。園の主要メンバーで現在の問題を棚卸しして、その解決や振り返り・改善のための話し合いをサポートします。
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――クレド制作を導入しようと決めた頃は、どんなことに課題感を持っていましたか?
橋本理事長:うちは認可保育所が地続きに2園隣接している割と珍しい施設なんです。その体制になったのは平成31年ですが、最近まで園の運営は2園それぞれのやり方で進めており、もう少し連携を強めて一体的な運営をしていきたいと思っていました。加えて、法人全体として職員の意識も高めていきたいという思いがありましたね。
ちょうどそのタイミングで、前理事長や長年勤めた職員が引退の意向を示していたので、その橋渡しや次世代につなげるという意味も兼ねて、クレド制作をやりたいと思っていました。
――クレド制作を行うにあたって、意識していたことはありましたか?
橋本理事長:自分たち経営陣でクレドをつくるのは簡単ですが、できれば現場の職員も巻き込んで、一緒につくりたいと考えていました。トップダウンではなくてボトムアップというか、小さい法人なので、みんなでできたらと思っていました。
でもそれってどうやるの?というところがあったので、チームビルディングさんの力を借り、実際に職員の言葉をたくさん引き出してもらってつくり上げられたのはよかったですね。
――そうだったのですね。
橋本理事長:また、「クレドカードを作ることが目的になっちゃダメだよね」と当時よく話をしていて、それは意識していましたね。クレドは形としてあるだけで、あくまでも目的は2園の連携を強めたり、法人としての意識を高めたりすることだと話していました。手段と目的を取り違えてはいけないと思っていましたね。
――とても大事なポイントですよね。
では、実際にクレド制作をやってみてどうでしたか?
橋本理事長:色々なプロセスがあって、前理事長や当時の園長といった経営層へのインタビューや、職員の全体研修も2回ありました。経営層からは「そんな話知らなかった!」という話も引き出せましたし、やっていて面白かったですね。職員からも様々な声を聞けたり、出る言葉も理念そのままだったり。みんな思っているところは同じだったんだと再確認もできたので、よかったなと思っています。
――制作する工程で印象に残っていることはありますか?
橋本理事長:そうですね。私が担当していたこともありますが、クレドカード自体のビジュアルも、みんなであぁでもないこうでもないって、ふじかよさん(弊社 藤原)と何度もやり取りさせていただいて思い出に残っていますね。
――カードのデザインでこだわった部分や気に入っている部分はありますか?
橋本理事長:植物を一つのテーマにしたというのはあります。うちの理念の中に雑草というワードが出てきたり植物を比喩にしたものが多いので、それをビジュアルに入れてもらいました。あとはカラーですね。白・赤・青と落ち着いたトーンの黄色を使ってもらいました。そのカラーは何となく元々うちが使っていたカラーだったので、それをビジュアルに落とし込めて、より自分たちらしさが確定的なものになったかなと思います。


――完成したクレドは今どのように使っていますか?
橋本理事長:年数回みんなで見るタイミングをつくったり、できるだけ職員会議などでも読み合わせをするようにしています。少しずつ浸透させていきたいと思っていて、採用活動の時にも「こういう想いでやっています」と伝えていますね。また今後は、保護者様向けにホームページにも載せていきたいと考えています。
全体としてものすごく浸透してるかというとまだまだですが、すぐ浸透できるほど簡単な話ではないと思うので、徐々にですね。ずっと言い続けて、長期的な物差しで見たときにこのクレドが浸透していればいいかなと思っています。
――クレドができてから職員さんに何か変化はありましたか?
橋本理事長:先ほども言った通り、クレドはあくまで手段であって、「クレドができた=職員が変わる」というのはないと思うんですよ。ただ、クレドをつくる中で「2園が連携していきましょう、みんなの声を集めましょう」といったプロセスがあり、その意識が法人の中に芽生えたことによって、職員にとてもいい影響が出ているのではないかなと思っています。
たとえば、2園で研修やケースカンファレンスを行ったり、保育の中で一緒に遠足に行ったりと、それまでにはなかった新しい交流が生まれている様子があります。
――素敵ですね。
橋本理事長:また、職員参加の全体研修でふせんを使って意見を出す体験ができたのはよかったですね。今までは、人数が多ければ多いほど、声の大きい人からしか意見が聞けないといった状態もあったので、あのような手法を取り入れて話し合いをすると、こうも意見が出るものなのかとすごく勉強になりました。
今はその話し合い方をとても参考にさせてもらっています。去年まで私が園長を務めていた1園では、普段の職員会議でもディスカッションの時間を設けたりしています。職員が活発に意見を出し合えるような風土、風通しよく意見交換ができるような形を自分たちの会議でもつくるようにしていて、その効果はかなり感じていますね。

――クレドをつくる際の話し合い方を参考にしていただいているんですね!
橋本理事長:はい。そういった話し合い方をここ1~2年やっています。どこの園や会社でもそうだと思いますが、毎回声の大きい人が発言しがちな状態ではなく、ちゃんとみんなが意見を出せる職員会議になってきたのではないかなと思います。それまでの職員会議は、事務連絡をするだけの報告会のような場だったのですが、変わりましたね。ミーティングって本来「こういう課題があるんじゃないか」ってみんなでディスカッションする場だと思うので、その側面を強められたのは大きな成果として感じています。
――素晴らしいですね。研修で体験したことを自分たちだけで実践するのは簡単ではないと思います。
橋本理事長:でもそっちの方が本来の目的であるべきというか、クレドを制作しておしまいって意味のないことですよね。その後どうするかということの方が大切だと思っています。なので、もう1園の方でももっとそこを活かしていきたいと思っています。全体として活発な意見交換ができるようになった時には、さらに2園の連携も強くなっていくのではないかなと感じていますね。
――クレド制作から派生して園のファイル、封筒、名刺などもご制作されましたが、そちらはいかがでしたか?
橋本理事長:とても良い流れだと思っています。コンサルティング関係も、印刷関係も、財務関係も含めて、業者さんってたくさん存在しているじゃないですか。なので今までは、この仕事はこっち、この仕事はあっちとバラバラだったんですよね。でも法人全体のブランディングの視点でいくと、ホームページはこれなのに封筒はこれで…みたいにゴチャゴチャだったんですよね。それを整えたくて。
だから、クレドで私たちの根っこの部分、上っ面じゃないところも見ていただいているチームビルディングスさんにビジュアルの部分をお願いすれば、きっと整合性が取れていくだろうなと思ってお願いしました。最初はクリアファイルだったかな。そこにもクレドのキャッチを入れてもらったりしました。クレドカードから派生した制作物にも統一感が出てきていて、お願いしてよかったです。
――採用関連の備品(採用パンフレット、展示会用クロス、パネルなど)も統一感が出ていますよね。実際に使ってみての反応はいかがですか?
橋本理事長:すごくいいですね。採用パンフレットは、元々そういうものがなかったので、こちらも説明しやすくとても活用できています。今までも求人票はあったのですが、口頭で説明していた部分も多かったので非常に助かっていますね。就労条件なども含めて載っているので、これがあると分かりやすいですと言われます。

――嬉しい反応ですね。
その他、様々なサービスを通して弊社とかかわる中で印象的だったことはありますか?
橋本理事長:チームビルディングスさんのスタンスですかね。よく会議でこうちゃん(弊社 菅谷)に「みなさんが主役です」と言われます。それはすごく信頼していますね。ややもするとコンサルティング系の会社さんって「こうした方がいいですよ、他園さんではこうしていますよ」みたいに押しつけることって結構あると思うんです。だけどチームビルディングスさんは「みなさんで考えてくださいね、私たちはサポートする側です」と明確に言ってくださいますよね。なので会議などに参加している職員も「自分たちで考えるんだ」という意識が強くなって、それはとてもありがたいなと思っています。そのスタンスがあるからこそ、今こうして3年もお付き合いが続いているんじゃないかな。
――私たちのあり方をそんな風に感じてくださっていて、とても嬉しいです。ありがとうございます。
では最後に、将来の展望をお聞かせください。
橋本理事長:そうですね。チームビルディングを始めて、1年目・2年目・3年目と積み重ねができてきていると思うので、また振り返りながらさらに自分たちのチームビルディングを確立して法人内に浸透させていきたいなと思っています。
また中期的に保育面も自分たちの伸び代を伸ばしていこうと思っていて、そのためには職員のディスカッションが必ず必要だと考えています。働く職員もやりがいがあって、子どもたち一人ひとりの可能性も引き出せる保育をしていきたいです。今までの流れも汲みつつ、自分たちの理念がより発揮されるような保育園にしていきたいですね。
――信愛会さんのその想いがもっと実現していくように、これからもサポートできたらと思っています。
本日は貴重なお時間をありがとうございました。

